スクワットはしゃがむ深さが深いほど効果が高いの?
浅いスクワットはあんまり効果がないの?
こんな方に向けた記事です。
自分次第で可動域が大きく変化するスクワット。深くしゃがめばしゃがむほどキツくなることから、「浅いスクワットはスクワットじゃない」という自分に厳しい考えを持っている方も多いのではないでしょうか。
今回はスクワットのしゃがむ深さと関与する筋肉についてわかりやすく解説します。
スクワットの種類
スクワットはしゃがむ深さによって、次の5つの種類に分類されます。
- ATG(フルボトム)
- フルスクワット
- パラレルスクワット
- ハーフスクワット
- クォータースクワット
上記のスクワットの種類はしゃがむ深さが深い順になります。(ATGが最も深く、クオーターが最も浅い)
それぞれのスクワットの定義と特徴について順番に解説していきます。
ATG(フルボトム)
定義:フルスクワットより更に深くしゃがむ
ATGとは、「Ass To Grass」の略で、「”芝(=床)にお尻がつく”」ぐらい深くしゃがむスクワットを指します。別名フルボトムスクワットともいいます。
最も深くしゃがむスクワットで、最もキツく、筋肉の動員も多いです。しかし、深くしゃがみすぎると骨盤が後傾してしまい、これにより腰を痛める可能性があるので、ケガのリスクが高いスクワットといえます。
フルスクワット
定義:股関節が膝関節よりも下にくるまで
パワーリフティング競技でのスクワットはこの深さが求められます。「スクワット何キロ挙げれる?」の問いに対しては、この深さまでしゃがんで挙げれる重さを申告するのが一般的です。
しっかりスクワットをやり込んでいる人はこの深さで行うことが多いのではないでしょうか。
パラレルスクワット
定義:大腿(太もも)が床と並行になるまで
これぐらいの深さまでが、”浅いスクワット”と言われない深さのスクワットではないでしょうか。強度もそれなりに高く、ここまでしゃがむことを推奨しているトレーナーも多いです。
ハーフスクワット
定義:膝の角度が45〜90度くらいになるまで
ここまでのスクワットと比較すると、少し”浅め”のスクワットになります。
パラレル以下のスクワットとハーフスクワットではキツさに雲泥の差があるので、ハーフの深さまでしかしゃがまない人が割と多い印象があります。
クォータースクワット
定義:膝の角度が45度になるまで
最も浅いスクワットで一番楽に行えるスクワットです。
初心者の方が最も行いがちなスクワットで、競技者などのトレーニングをやり込んでいる人からは「スクワットとして認めない」と言われがちなスクワットでもあります。
しゃがむ深さによる効果の違い
スクワットのしゃがむ深さと各筋肉への刺激を調査した実験があります。
2019年に行われた研究では、17人の男性をフルスクワットグループとハーフスクワットグループに分け、10週間(週に2回)にわたってスクワットトレーニングを行いました。それぞれのグループの筋肉増加量を調査したところ、以下のような結果が出ました。
グラフの高さは筋肉の増加量を表しています。グラフの通り、大臀筋と内転筋はフルスクワットの方が筋肉増加量が大幅に多く、その他の筋肉についてはあまり変わらないという結果になっています。
この結果から、しゃがむ深さが深いほど、大臀筋(お尻)と内転筋(内もも)の関与が大きくなることがわかります。つまり、お尻や内ももを鍛えたい場合は、フルスクワットを行う必要があります。
一方、大腿四頭筋(外側広筋、内側広筋、中間広筋、大腿直筋)をターゲットとするのであれば、しゃがむ深さによる効果はそこまで変わらないことから、ハーフスクワットでも十分に鍛えられるといえます。
どこまでしゃがむのがベスト?
前述の実験結果から、スクワットの深さは「目的によって使い分ける」のがベストだと考えます。
■フルスクワットがおすすめな人
- 脚全体を鍛えたい人
- お尻や内ももをしっかり鍛えたい人
- 四頭筋(前もも)をあまり太くしたくない人
- ハーフスクワットにする明確な目的がない人
■ハーフスクワットがおすすめな人
- 大臀筋や内転筋を別種目でしっかり鍛えている人
- 四頭筋(前もも)をメインに鍛えたい人
特に女性など、お尻をしっかり鍛えて前ももをあまり太くしたくないという人はフルスクワットがおすすめです。ハーフスクワットだと扱える重量が上がりやすいので、その分、四頭筋(前もも)も発達していきやすいので脚だけがゴツくなってしまう可能性があります。
また、ハーフスクワットにする明確な目的がない場合もフルスクワットで行うのがおすすめです。理由としては、フルスクワットには大臀筋と内転筋が鍛えられる以外にも、次のようなメリットがあるからです。
- テストステロン分泌量の高さ
- 心肺機能の向上
- 精神力の強化
フルスクワットを行うことで大臀筋や内転筋が疲労し、他の種目に影響してしまう場合は無理にフルスクワットを行う必要はないかと思います。しかし、高い効果を得たいのであれば、”やらない理由”を作ってハーフスクワットなどの浅いスクワットに逃げないよう心がけましょう。
まとめ
- ATG(フルボトム)
- フルスクワット
- パラレルスクワット
- ハーフスクワット
- クオータースクワット
- ハーフスクワットに比べてフルスクワットは大臀筋と内転筋の関与が強くなる
- 特に明確な理由がない場合はフルスクワットがおすすめ
- お尻をしっかり鍛えたい女性はフルスクワットがおすすめ
- 四頭筋のみを鍛えたい人はハーフスクワットがおすすめ
「男は黙ってフルスクワット」と、特にしっかり鍛えている人はこの考えの人が多いかと思います。しかし、今回の記事で紹介した実験結果から考えると、必ずしもフルスクワットで行う必要はないのかもしれません。
自身の目的に合わせて最適なスクワットを行うようにしましょう。