摂取カロリーを減らしているのに減量が進まない…
毎朝有酸素をしているのになかなか絞れない…
こんな方に向けた記事です。
最初は順調だった減量が、減量末期に近づくにつれてなかなか思うように進まなくなることは多くの方が経験していることだと思います。
真面目な人ほど、そこで摂取カロリーを極端に下げたり、有酸素運動を1日に何時間も行ったりします。しかし、頑張っても頑張ってもなかなか絞れず、結局間に合わなかったというケースが多いのではないでしょうか。
今回は、そんな真面目な人が陥りがちな減量に潜む「5つの落とし穴」について、複数の大会で優勝経験がある管理人が自身の経験をもとに解説いたします。
摂取カロリーを落としすぎる
減量が停滞したときにまず行いがちなのが、「摂取カロリーを落としすぎる」ということです。
減量を段階的に進める上で、カロリーを徐々に落としていくのは重要ですが、落としすぎには注意が必要です。
摂取カロリーを落としすぎると、ホメオスタシス効果により基礎代謝が低下し、絞れにくくなります。何より力いっぱいハードなトレーニングができなくなるので、これもカロリーを落としすぎる大きな弊害であると考えます。
摂取カロリーの下限目安は”仕上がり体重(kg)×30kcal”です。(例:仕上がり体重70kgの人は2,100kcalが下限)仕上がり体重×40kcalで絞り切ることが理想的ですが、それでは絞れないという方は×30kcalまでは落としても問題ありません。
これ未満にしないと絞れないという方は、そもそも「トレーニング強度」に問題があると思われます。ここで勘違いしてはいけないのが、不足しているのは「ボリューム」ではなく「強度」ということです。
種目数を増やしたり、ジムに行く頻度増やすということではありません。1セット1セットの「しんどさ」のレベルを上げる必要があります。ここは付け焼刃の手法で何とかなるものではなく、オフのときからトレーニング技術を磨き、しっかりハードにトレーニングしておく必要があります。
絞れない状態で種目数やジムに行く頻度だけを増やしても減量が進むどころか、より疲労が蓄積し、更に減量が停滞すると思われます。
減量の際にカロリーを極端に落とさなくても良いように、オフのときからトレーニング強度を高めることを意識しましょう。
三大栄養素のひとつを極端に制限する
次に減量で陥りがちなミスが、「三大栄養素のひとつを極端に制限する」ということです。
更に具体的にいうと、「炭水化物を減らしすぎる」もしくは「脂質を減らしすぎる」ということです。
競技者の方であれば、炭水化物はトレーニング強度維持のためにしっかり摂っているケースが多いですが、脂質を極端に制限している人が多いかと思います。
「タンパク質と炭水化物は筋肉を落とさないために重要だけど、脂質はそこまで重要じゃない」。三大栄養素について、なんとなくこんなイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか?
ボディメイクにおいて、三大栄養素はすべて必要です。重要なのは「どの栄養素か」ではなく、各栄養素の「バランス」です。
三大栄養素は、体が正常に機能するためにひとつも欠かせない栄養素であることから、”三大”という名称がついています。どれか一つを極端に制限したり、過剰摂取することは、体の生理機能を乱すことにつながります。
炭水化物を減らしすぎると、トレーニング強度の低下や代謝の低下を招き、確実に減量が停滞します。なにより筋肉のグリコーゲンが少なくなることで、筋肉が萎んだように見え、トレーニングのモチベーションも低下してしまいます。
脂質を減らしすぎると、体から元気がなくなる感覚が強く、これもトレーニング強度低下の原因になります。筆者の経験上、炭水化物をしっかり摂っていても脂質を極端に摂らなくなると、トレーニングで扱う重量が落ちやすくなる感覚があります。脂質はテストステロンをはじめとしたホルモンの材料にもなるので、減量期にもしっかり摂る必要があります。
脂質摂取量の下限目安は、総摂取カロリーの15%です。
個人の体質にもよりますが、これ以下にすると体の調子が悪くなるという方が多いと考えます。ちなみに、筆者は減量期の脂質は20%ほどで設定しています。
減量が停滞すると、炭水化物や脂質を極端にカットしがちですが、減量を更に停滞させる原因にもなるので、三大栄養素のバランスを崩しすぎないように気をつけましょう。
減量期の脂質量について、こちらの記事も面白いのでチェックしてみてください。→油は脂を解かす
チートデイを全くしない
真面目でストイックな方ほど、チートデイを全くしないという方が多いと思います。
チートデイについては賛否両論ありますが、筆者は「栄養補給」という観点で、チートデイは必要であると考えます。
減量食を続けていると、やはりどこかのタイミングで元気が出なくなったり、疲労を感じる場面が出てきます。
筆者の経験上、この「なんか元気が出ない」という状態だと身体が絞れにくくなり、減量が停滞することが多いです。この「元気が出ない」という状態を打破するためにチートデイは必須であると考えています。
筆者がチートデイを入れる基準としているのは次の通りです。
- メニューはこなせるが、力一杯トレーニングができない感覚がある。(追い込みたいのに追い込みきれない感覚)
- 精神的にはまだ数レップできるのに、肉体的限界が先にくることが多くなる。
- トレーニング中の筋肉の張りが悪くなっている。
- 体温が0.2度以上下がっている日が続いている。
この基準に2項目以上当てはまってきているときに、筆者はチートデイを入れます。
ただし、1日を通して好きなものを食べるのではなく、一食のみや時間を限定してチートミールを食べます。
チートミールとはいえ、栄養価の少ないお菓子類や、砂糖が多く含まれるもの、乳製品などはできるだけ避けます。これ以外のものであれば揚げ物でも脂質の多い肉でも何でも食べます。
真面目な人ほどチートデイは甘えと考え、ひたすら減量食を続けますが、トレーニング強度が下がっているのであれば栄養補給をすることも必要です。
精神的な息抜きにもなるので、チートデイは必要に応じて入れることをおすすめします。
有酸素運動をやりすぎる
「有酸素運動をやりすぎる」というのも、減量期に陥りがちな失敗です。
有酸素運動をやりすぎると、体から疲労が抜けなくなります。
疲労が抜けなくなる原因としては、有酸素運動により、体内の活性酸素が増えてしまうことが挙げられます。
有酸素運動は1日40分、週4回ぐらいが上限であると筆者は考えています。
これ以上行うと、なかなか疲労が抜けなくなり、トレーニング強度が下がることで減量が更に停滞します。
更に疲労により体が浮腫みやすくなるので、”運動量を増やしているのに体重が増えている”という状況が多くなり、モチベーションの低下にもつながります。
どうしても減量のペースを上げたいということであれば有酸素運動ではなく、HIITを行うのがおすすめです。
HIITであれば活性酸素が体に蓄積されにくく、疲労が抜けない状態に陥らないので、減量中に脂肪燃焼させる運動としてはベストな選択といえます。
トレーニング頻度を増やしすぎる
有酸素と同様、減量スピードアップのためにトレーニング頻度を増やして運動量を増やすという考えの方も多いと思います。
ですが、トレーニング頻度を増やしすぎることもおすすめしません。
ダブルスプリット(1日2回のトレーニング)などを取り入れ、週7回を超える頻度でトレーニングされる方もいますが、これも疲労をためる原因となり停滞を招きます。
「筋肥大のためには、とにかく頻度を多く!」と考える方も多いですが、筆者の考えとしては、”毎日こなせてしまうトレーニング強度の低さ”に問題があると思います。
もちろん回復力に優れており、毎日やっても問題ない人もいますが、こういった人は一握りで、ほとんどの人はこれに当てはまらないと考えます。
また、減量末期になるとオフのときに比べて、筋肉痛が起こりにくくなることはないでしょうか?
これは疲労の蓄積によりトレーニング強度が下がっていることも要因のひとつです。
「強度は下がってない!毎回全力でやってる!」と言う方も多いと思いますが、全力でやってるつもりでも無意識に筋肉にかかる負荷を逃したり、ネガティブ動作で力を抜いてしまったりと、無意識に強度が下がってしまっているんです。
筆者の考えとしては、オフの日は最低でも週1回は必要であると考えます。(筆者のトレーニング頻度は週5回です。)
トレーニング頻度を増やさなくてもしっかりと絞れるように、オフの時からトレーニング強度を高める努力をすることが肝要です。
まとめ
減量に潜む5つの落とし穴をまとめると、次の通りです。
- 摂取カロリーを落としすぎる
- 三大栄養素のひとつを極端に制限する
- チートデイを全くしない
- 有酸素運動をやりすぎる
- トレーニング頻度を増やしすぎる
これらの落とし穴から総じて言えるのは、何事も「やりすぎは禁物」ということです。
真面目な人ほど、減量時に自分にとって厳しい選択を行いがちですが、ボディメイクにおいては「しんどい=結果が出る」という方程式は成立しません。
もちろん、絞り切った体を作るのは楽ではありません。しかし、しんどければしんどいほど結果につながるといった考えで減量を進めていくと失敗するケースがほとんどです。
努力は報われるといいますが、それは”正しい努力”での話です。間違った努力は平気で自分を裏切ります。
減量を進めていく際は、”正しい努力”を行うためにも「5つの落とし穴」を意識し、何事もやりすぎないように注意しましょう。