プロテインって肝臓に悪いの?
健康診断で肝機能の数値が悪いのはプロテインのせい?
こんな方に向けた記事です。
プロテインを飲んでいると肝臓の数値が悪くなると聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?筆者も実体験として、健康診断で肝臓の数値が高いと指摘され、医師から「プロテインを飲んでるのが関係してるかもしれません」と言われたことがあります。
しかし、プロテイン自体が肝臓に悪いわけではなく、肝臓の数値が高くなるのは他に原因があります。
今回はプロテインと肝臓の関係性や肝機能に関する数値について、わかりやすく解説します。
肝臓の働きと肝機能の数値とは?
肝臓の働き
肝臓の働きは主に以下の3つになります。
- 栄養素の分解・再合成
- 胆汁の合成・分解
- 有害物質の解毒・分解
肝臓はグリコーゲンやタンパク質の合成・分解をおこなったり、脂肪の消化を助ける胆汁の合成・分解をおこなったりとあらゆる代謝にかかわる非常に重要な役割を持っており、ボディメイクにおいても決して無視できない臓器のひとつです。
肝機能が低下する=これらの働きが弱くなるということになります。
肝機能に関する数値
健康診断などで肝機能を判定する指標として用いられる数値は、『AST』『ALT』『γ1-GT』の3つになります。
- AST
酵素の一種で心筋や骨格筋、肝臓に多く含まれる。肝臓や筋肉がダメージを受けると血中にASTが放出される。 - ALT
酵素の一種で、そのほとんどが肝臓に含まれる。肝臓がダメージを受けると血中にALTが放出される。 - γ1-GT
腎臓や肝臓に多く存在する酵素。アルコールに敏感に反応する酵素なので、アルコール性肝機能障害の診断に用いられる。
どの酵素も主に肝臓に多く存在しており、肝臓がダメージを受けたりすると数値が上昇します。健康診断の肝機能の診断では、この数値を元に肝臓にダメージを受けているか否かを判断しています。
ただし、肝臓にダメージがないのに数値が上昇することもあります。この点については、本記事の『肝臓の数値が悪くなる原因』の節で詳しく解説します。
- ASTよりもALTの方が肝臓の状態が反映される(=肝臓の状態を判断する数値として信憑性がある)
- AST、ALTがどちらも高い且つ、ALTの方が高い場合は肝臓に異常がある可能性が高い。
- ASTがALTよりも高い場合は、肝臓よりも心筋や筋肉がダメージを受けている可能性が高い。
プロテイン自体が肝臓に悪いのではない
プロテインを飲みすぎると確かに肝機能の数値は高くなります。
しかし、それはプロテイン自体に原因があるのではなく、「タンパク質の過剰摂取」が原因となっています。
つまり、プロテインを飲まなくても、肉や魚の食べすぎによっても引き起こされます。
NASM(全米スポーツ医学アカデミー)によると、1日のタンパク質の推奨摂取量は、一般成人で体重1kgあたり0.8g、筋トレやスポーツなどをしている人は体重1kgあたり1.2〜2.0gが必要とされています。
これをはるかに超えるタンパク質を摂取してしまうと、過剰摂取になってしまいます。
タンパク質を過剰摂取すると、以下の流れで肝臓にダメージを与えます。
- タンパク質を過剰摂取することで吸収できないタンパク質が発生
- 吸収できないタンパク質が腸内の悪玉菌のエサになる
- 悪玉菌がエサを元に『アンモニア』を生成
- アンモニアは人体にとって有毒なので肝臓で尿素に変換される
- 発生するアンモニアが多いと解毒作用にパワーがかかり肝臓の負担になる
上記の通り、タンパク質を過剰摂取すると、肝臓の働きの一つである『有害物質の解毒』をフル稼働しないといけないため、肝臓に負担がかかります。
肝臓に負担がかかることから、肝臓に蓄えられたASTやALTが血中に放出されることで、肝機能の数値が上がってしまいます。
プロテイン自体に害はないですが、肉や魚などの固形食と比較すると非常に摂取しやすいので、飲みすぎてしまうことからタンパク質の過剰摂取につながる可能性があります。プロテインの飲み過ぎには注意しましょう。
筋トレも肝機能の数値が高くなる原因になる
ハードな筋トレも肝臓の数値を高める原因になります。
肝機能を判定する数値のひとつであるASTは筋肉中にも含まれており、筋肉がダメージを受けた時も血液中にASTが放出され、血液中に含まれるASTの数値が高くなります。
つまり、肝臓が正常な場合でも、筋トレによって肝機能に関する数値が高くなってしまうということです。
健康診断の前日や前々日に激しいトレーニングを行うと、肝機能に関する数値が高くなるケースが多いです。
ただし、数値が高い低いはあくまで身体状態の”指標”となるものなので、数値が高い=不健康というわけではないのでトレーニングで数値が高くなるのは何も問題はありません。
肝臓の数値が悪いときの対策
1日のタンパク質摂取量を見直す
タンパク質の過剰摂取は肝機能の低下につながります。肝臓の数値が悪い場合、特にALTとASTが共に高い場合は、一度、1日のタンパク質の摂取量を見直してみましょう。(ただし、タンパク質の見直し以前に医師の指示を優先するようにしてください。)
「早く筋肉をつけたい!」という気持ちからタンパク質を多く摂りたい気持ちはわかりますが、過剰摂取となってしまうと、健康状態を損ない、逆に筋合成が抑制される恐れがあります。
ほとんどの方は体重1kgあたり2g程度で十分かと思いますので、過剰に摂取しないよう注意しましょう。
健康診断の2日前から筋トレを控える
肝臓に異常がないのに、いつも肝臓の数値が高く出てしまうという方は、健康診断の2日前からトレーニングを休止することをおすすめします。
ASTの血中半減期は半日といわれています。(半減期=濃度が半分になるまでにかかる期間)
トレーニングでASTの血中濃度が高まっている場合、2日間安静にすれば血中のASTは16分の1に低下するという計算になります。
自身の肝臓の状態をしっかり検査するためにも健康診断の前ぐらいはトレーニングを休み、正確な診断ができるよう努めましょう。
肝機能を高めるサプリメントを摂取する
摂取するタンパク質量をどうしても維持したいという方は肝機能を高めるサプリメントを摂取することをおすすめします。
おすすめのサプリ①
おすすめのサプリ②
ただし、サプリメントは医薬品ではなくあくまで栄養補助食品ということを十分に心がけ、効果を過信しすぎないようにしましょう。
まとめ
- 肝臓の働きは、『栄養素の分解/再合成』『胆汁の合成/分解』『有害物質の解毒』
- 肝臓の数値が高くなるのはプロテイン自体が原因ではなく、『タンパク質の過剰摂取』が原因
- 肝臓が正常でも、ハードトレーニングによって肝臓の数値が高くなることがある
- 肝臓の数値を改善する対策は、『1日のタンパク質量を見直す』『健康診断2日前からトレーニングを休止する』『サプリで肝機能を高める』
「プロテインは肝臓に悪い」とプロテインが悪者扱いされることがしばしばありますが、プロテイン自体に罪はなく、特定の栄養素を過剰に摂取することが原因となっております。
これはタンパク質に限ったことではなく、炭水化物や脂質についても過剰摂取すれば人体に様々な悪影響を及ぼします。
健康的にボディメイクに取り組むためにも、特定の栄養素を過剰摂取するようなことはせず、バランスの良い食事をするよう心がけましょう。