脂肪燃焼サプリの具体的な作用を知りたい…
減量が停滞しているからサプリで減量を加速させたい…
こんな方に向けた記事です。
脂肪が燃焼されるには3つのステップがあることをご存知でしょうか?
体脂肪は、「分解」⇒「運搬」⇒「燃焼」という3つの段階を踏んでエネルギーに変換されます。タイトルにもあるように、脂肪燃焼サプリの代表格であるカルニチンは「運搬」のステップを促進させるもので、「燃焼」を促進させるものではありません。
今回は脂肪燃焼のメカニズムと3つのステップについて、フィジーク大会で優勝経験のある管理人がわかりやすく解説します。また、各ステップを促進させるおすすめサプリメントについてもご紹介します。
脂肪燃焼のメカニズム
体脂肪をエネルギーとして消費するには大きく分けて3つの段階があります。
脂肪燃焼と聞くと、体脂肪がそのままその部位で燃えるイメージがあるかと思いますが、体脂肪はこういった段階を踏んで燃焼されます。
各ステップについてわかりやすく解説していきます。
STEP1 「分解」
脂肪というのは主に白色脂肪細胞と呼ばれる細胞に蓄えられています。脂肪はそのままの状態ではエネルギーとして使用できないので、脂肪酸という形に分解する必要があります。
脂肪を脂肪酸に分解するために必要なのが、”運動” です。
- 運動などの刺激でアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンが分泌
- カテコールアミンが白色脂肪細胞内にあるβ受容体に刺激を与える
- これにより酵素の一種であるアデニル酸シクラーゼが活性化
- アデニル酸シクラーゼがサイクリックAMPを合成
- サイクリックAMPにより脂肪を脂肪酸に分解するリパーゼが活性化
- リパーゼの働きにより脂肪が脂肪酸とグリセロールに分解される
わけのわからない専門用語が出まくってますが、要は運動などの刺激で脂肪が脂肪酸に分解されるということです。
ただし、日本人は脂肪分解の最初のスイッチであるβ受容体が弱い人が多く、「分解」のステップが苦手な傾向にあります。痩せにくいという自覚がある方はこの分解ステップをサプリメントで強化することをおすすめします。
STEP2 「運搬」
脂肪が脂肪酸に分解された後、脂肪酸は細胞内の「ミトコンドリア」に運ばれます。
ミトコンドリアとは脂肪や糖質の焼却炉のようなもので、人体が活動するためのエネルギーを作り出している細胞の一部です。このミトコンドリアが脂肪酸を取り込み、燃焼させ、エネルギーに変換してくれます。
ただし、このミトコンドリアは外膜と内膜の二重構造になっており、脂肪酸単体ではこの内膜を通過することができません。
この内膜を通過するためにはL-カルニチンの助けが必要になります。脂肪酸はL-カルニチンの助けがあることで初めて内膜を通過でき、ミトコンドリア内で燃焼されエネルギーに変わります。
ミトコンドリアは脂肪の焼却炉のようなもので、カルニチンは脂肪酸を焼却炉まで運ぶ「ゴミ収集車」のようなイメージです。つまり、カルニチンは「燃焼」を促進するものではなく、脂肪酸の「運搬」を促進するものです。
運動もせず(=分解のステップが終わっていない)カルニチンを摂取したところで、脂肪燃焼の効果は期待できません。ゴミがないのにゴミ収集車を何台もゴミ回収に向かわせるようなものです
カルニチンの効果を活かすには運動などにより、「分解」のステップを踏む必要があります。
STEP3 「燃焼」
ミトコンドリア内に取り込まれた脂肪酸は燃焼され、エネルギーに変換されます。
- ミトコンドリア内に入った脂肪酸はアセチルCoAになる
- アセチルCoAがTCAサイクル(クエン酸回路)というエネルギーを生み出す回路に入る
- アセチルCaAがクエン酸に変化し、ATP(=アデノシン三リン酸)が合成される
- ATPが筋肉の収縮などのエネルギーとして使用される
ただし、脂肪酸がミトコンドリア内に運搬されれば、どんどん燃焼するわけではありません。脂肪酸がミトコンドリア内に大量に取り込まれすぎると、今度はクエン酸が作られすぎて、細胞質内にクエン酸があふれ出します。
あふれ出したクエン酸に酵素(ATPクエン酸リアーゼ)が作用してマロニルCoAという物質になります。このマロニルCoAが合図となり、脂肪酸がミトコンドリア内にそれ以上取り込まれないようにブレーキがかかるような仕組みになっています。
このマロニルCoAが作られてしまうと脂肪燃焼がストップしてしまいます。この作用を防いでくれるサプリがありますので、それは次項で紹介します。
各ステップを促進するサプリ
ひと口に脂肪燃焼サプリといっても、脂肪燃焼のどのステップを促進するのかはサプリメントによって異なります。そこで、各ステップごとの作用を促進するサプリメントを紹介します。
「分解」を促進するサプリ
フォルスコリン
脂肪を分解する酵素を間接的に活性化
フォルスコリンには体脂肪(白色脂肪細胞)内にあるβ受容体を介さずにアデニル酸シクラーゼを活性化させる効能があります。
要は運動などの刺激を与えずとも、脂肪の分解が進むということ。フォルスコリンを摂取することで平静状態でも脂肪の分解を進めることができます。
ただし、サプリ全般に言えることですが、「飲めば痩せる」といったような劇的な効果は期待しない方が賢明です。運動頻度の低い方や運動時以外でも脂肪の分解を進めたいという方におすすめのサプリメントです。
- 摂取タイミング:食前
- 摂取量目安:10~25mg/日(フォルスコリン正味量)
CLA(共役リノール酸)
脂肪の吸収を抑え、脂肪の分解を促進
CLAは、共役二重結合という分子構造をもつリノール酸の異性体です。
CLAには、リポタンパク質リパーゼという酵素が細胞内に脂肪をため込む作用を抑制してくれる効果があります(脂肪の吸収を抑えてくれる)
また、脂肪細胞の中にあるホルモン感受性リパーゼという脂肪分解酵素を助ける働きがあり、脂肪の分解促進に貢献します。
- 摂取タイミング:食後
- 摂取量目安:1000~3000㎎/日
カフェイン
脂肪を分解する酵素を活性化
カフェインは言わずと知れた、コーヒーや茶葉などに含まれる成分で、脂肪を分解する酵素であるホルモン感受性リパーゼを活性化する作用があり、脂肪の分解を促進してくれます。また、脂肪を燃焼させる脂肪細胞である「褐色脂肪細胞」の働きを活性化させる効果もあります。
脂肪燃焼の他にも覚醒作用や筋出力の維持などの効果もあり、効果を体感する数少ないサプリメントの一つなので、トレーニングパフォーマンスが落ちやすい減量期には特におすすめしたいサプリメントです。
- 摂取タイミング:運動前(ただし夕方以降は控える)
- 摂取量目安:100~200mg/日(上限は400mg)
「運搬」を促進するサプリ
L-カルニチン
脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ役割
カルニチンは必須アミノ酸から体内で合成されるアミノ酸の一種。
脂肪酸が脂肪の焼却炉であるミトコンドリアに取り込まれるために必要な成分がこのカルニチンになります。脂肪をしっかり分解できても体内にカルニチンが不足していれば、脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれず、燃焼もされません。
逆に、カルニチンだけを摂取しても脂肪が分解されていなければ効果は期待できません。
運動などにより、体脂肪を脂肪酸に分解するというステップを踏むことと、体内にカルニチンが十分存在していることで初めて脂肪燃焼繋がるので、カルニチンは運動とセットで摂取することをおすすめします。
- 摂取タイミング:運動前
- 摂取量目安:1000~2000mg/日
「燃焼」を促進するサプリ
HCA(ヒドロキシクエン酸)
脂肪由来のエネルギー産生を促進
HCAはガルシニアカンボジアという果実の皮から抽出される成分で、ガルシニアカンボジアエキスとも呼ばれます。
脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれすぎると、マロニルCoAという物質が発生します。このマロニルCoAが発生すると脂肪酸がミトコンドリアに取り込まれなくなってしまうのですが、HCAはマロニルCoAの生成を抑制する働きがあります。
つまりHCAを摂取することで、ミトコンドリアへの脂肪酸の取り込みにブレーキをかけることなく、どんどん燃焼していってくれるようになります。
また、カフェインと組み合わせることで脂肪燃焼効果が大幅にアップすることが報告されています。(この組み合わせは特許も取られています)HCAを摂取するときはカフェインも同時に摂取するのがおすすめです。
- 摂取タイミング:食事前、運動前
- 摂取量目安:500~2000mg/日
オールインワンタイプのサプリ
複数の脂肪燃焼成分を摂取したいという方は、ファットバーナーがおすすめです。
商品によって含まれる成分は異なりますが、ファットバーナーは脂肪燃焼に必要な成分が複数配合されているオールインワンタイプのサプリメントですので、個別で揃えるのが面倒だという方におすすめです。
グリコ エキストラバーナー
脂肪燃焼効果が非常に高いとされる、HCAとカフェインを組み合わせたファットバーナーです。
脂肪燃焼成分の他にもアルギニンや7種類のビタミンも配合されている優秀な商品です。
- HCA(500~700㎎)
- カフェイン(100㎎)
ファインラボ ファイナルバーン
脂肪燃焼成分がこれでもかと配合されたファットバーナーです。高価ですが、非常に強力なファットバーナーで減量末期に使用している方も多い商品です。ただし、飲んだ直後の胃の不快感がすごく、使用には慣れが必要です。(激辛料理を食べたあとのような胃の灼熱感・不快感があります)
- フォルスコリン(40mg)
- L-カルニチン(1200mg)
- HCA(600㎎)
- カフェイン(20㎎)
- etc…
EVLution Nutrition リーンモード
ファットバーナーにはカフェインを含む商品が多いですが、こちらの商品はカフェインが含まれていません。
特に夜にトレーニングされる方には最適な商品です。脂肪燃焼成分も十分に含まれているので優秀なファットバーナーです。
- CLA(500㎎)
- アセチル-L-カルニチン(500㎎)
- ガルシニアカンボジアエキス(250mg)
- etc…
JNX Sports ザ・リッパー
見るからにヤバそうなパッケージですが、味は非常に美味しいパウダータイプのサプリメントです。カフェイン含有量が多く、ファットバーナーというよりはプレワークアウトサプリに近い商品です。発汗作用がかなり強いので「脂肪が燃えている」という感覚になり運動のモチベーションに繋がります。
- カフェイン(200㎎)
- アセチル-L-カルニチン(含有量不明)
- etc…
どのステップをサプリで強化すべきか
日本人は「分解」のステップが弱い傾向にあるので、分解を強化するフォルスコリンやCLAなどをおすすめしますが、どの機能が弱いかは個人によって異なるので、まずは各サプリメントを試してみることをおすすめします。
自分自身がどの機能に優れ、どの機能が弱いのかは遺伝子検査で把握することができますので、気になる方は検査を受けてみることをおすすめします。
まとめ
脂肪燃焼の3つのステップは
- 分解
- 運搬
- 燃焼
各ステップに役立つサプリは
- 分解
フォルスコリン、CLA、カフェインなど - 運搬
カルニチン - 燃焼
HCA(ヒドロキシクエン酸)
脂肪燃焼のサプリには様々な種類があるのですべて揃えるとキリがありませんし、費用もかさみます。
自分自身が脂肪燃焼の3つの中でどのステップが弱いのかを見極めることも重要です。自身の体質を把握する手段として遺伝子検査も有効な手段といえます。
ただし、これらの話は食事管理がきっちりできたうえでの話です。そもそも摂取カロリーが消費カロリーを上回っている状態では、どんなサプリを飲もうが痩せません。
食事をきっちり管理したうえで、脂肪燃焼の効果を高めるサプリを摂取しましょう。