渡辺実さんのパーソナルってどんな内容?
実際のレッスンの流れってどんな感じなの?
こんな方に向けた記事です。
数多くのトップ選手のコーチを務める渡辺実さんですが、そのトレーニング内容を知りたいという方も多いのではないでしょうか。
渡辺さん自身は月刊ボディビルディングの連載でトレーニング内容を発信しておられますが、実際にパーソナルを受けた人からの情報発信は少なく、どんな流れでトレーニング指導をしているのか気になる方も多いと思います。
そこで、実際に渡辺さんのレッスンを受けている管理人がそのトレーニングの内容をご紹介します。
今回は以前受けさせていただいた、胸・二頭のレッスン内容についてシェアしたいと思います。
- 渡辺実さんのパーソナルの内容と流れ
- 胸・二頭のパーソナルで行ったトレーニング種目
- 各種目ごとのやり方とポイント
トレーニング内容
ウォーミングアップ
青竹踏み
渡辺さんのパーソナルは入念なウォーミングアップから入ります。
まずは足底筋膜をほぐす青竹踏みから行っていきます。青竹踏みの目的と効果については下記記事に書いていますので参考にしてください。
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管理人のほりはこちらの黒の青竹踏みを愛用しています。色はなんでもいい!という方は100均で購入することをおすすめします。
- 青竹踏みを横向きにして20~30秒ほど踏む
- 青竹踏みを二つ縦向きに並べて20~30秒ほど踏む
- ①②を1セット
チョキなし
次はチョキなしです。
チョキなしについてもこちらの記事に書いていますので、『何それ?』という方は下記記事をご覧ください。
- 両手をグーの状態で4~5回ノッキング
- 両手をパーの状態で4~5回ノッキング
- ①②をもう1セット行う
- 右手グー左手パーで4~5回ノッキング
- 右手パー左手グーで4~5回ノッキング
- ④⑤をもう1セット行う
※チョキなしの詳細については月刊ボディビルの2019年10月号に記載されています。
ネコ
次はネコです。
これはヨガで行う「猫のポーズ」と呼ばれる動きに似ています。
ヨガの猫のポーズとの違いは「手の置き方」と「フィニッシュでしっかり腹圧を入れて体幹を固める」ことです。
この「ネコ」を行うことで、背骨や肩甲骨回りを柔軟にし、体を動かしやすくすることができます。
また、全身を連動させて腹圧をしっかり固める感覚を掴むことができ、その後のトレーニングの精度を向上させることが可能です。
- 両手の手首の内側が外側に向くようにして手をつき、四つ這いになる。(このとき肩の真下に手が、腰の真下に膝がくるようにする。)
- 手で床を押し込むイメージで、お腹をのぞき込むように肩甲骨を開きながら背骨を丸めていく。
- 腹圧をかけながら体幹をまっすぐにしていき、フィニッシュで肩甲骨を寄せ、あごを上げる。(このとき体幹をしっかり固めるイメージで行う)
- ②③を繰り返す
- 10回を1セット
逆ネコ
次は逆ネコです。
これは胸骨筋を動かしやすくするための予備運動になります。
肩甲骨や骨盤などと同様に、胸骨筋についても各種トレーニングの動きの中で意識するポイントになってくるので、この予備運動を行うことで、胸骨筋を動かしやすくします。
- バランスボールなどに仰向けになり、腕は胸の前で組み、脚は膝を曲げて床につく
- 胸骨筋を伸ばすイメージであごを上げる
- あごを上げきったら、胸骨筋を縮めるイメージであごを引いていく
- ②③を繰り返す
- 10回を1セット
促通運動①
次は対角線の意識を通す促通運動を行います。
再び「ネコ」の体勢をとり、おなかを落として腹圧をかけた状態で、対角線上に片腕と片脚を上げます。(右腕を上げるときは左脚を上げる)
片腕と片脚を伸ばした状態で5回ほど上下に動かします。(このとき肩の筋肉とお尻の筋肉を連動させるイメージで動作を行います。)
5回上下させたら、反対側の片腕と片脚も同様に5回ほど上下させます。
これを左右2セットずつ行いました。
「意識を通す運動」というのは、簡単にいうと、脳ー神経ー筋肉のつながりを活性化させ、身体を動かしやすくする運動です。(渡辺さんの言葉を借りるなら、「脳を教育する」運動です)
リハビリなどで行われるPNF(固有受容性神経筋促進法)のようなイメージで、全身を促通させることを目的に行います。(PNFはスポーツ業界でも多く取り入れられています。)
こういった「意識を通す運動」を行うことで後のトレーニングの「効き」を最大限に高めることができます。
- 左右5回ずつを2セット
促通運動②
続いてもう一つの対角線の意識を通す促通運動を行っていきます。
先ほどは体の背面の意識を通す運動を行いましたが、次は体の前面で行います。
バンザイした状態で仰向けになり、片腕を上げると同時に対角線上の片脚を上げます。(右腕を上げたら左脚を上げる)
このとき、片腕と片脚がクロスするぐらいまで腕と脚を上げるようにします。
これも4回ほど腕と脚を上下させたら、反対側も同様に4回ほど上下させます。
これを2セットずつ行います。
- 左右4回ずつ2セット
寝射し
ウォーミングアップが終わったら早速トレーニングに入ります。
まず最初に渡辺さんが提唱しているトレーニング種目である「寝射し」を行いました。
寝射しは一見すると「フロアプレス」のようですが、フロアプレスとは似て非なるものです。
フロアプレスは膝を軽く曲げ、足の裏を床につけた状態で行いますが、寝射しはスタートポジションでは脚をのばした状態で構え、プレスと同時に脚を捻転させ、臀筋・ハムストリングなども動員させる種目です。(プレスと同時に行う下半身の捻転を渡辺さんは「練り」と呼んでいます。)
これだけ聞くと、「チーティング気味のフロアプレス」のように捉えられそうですが、チーティングと「練り」は全く異なるものです。
チーティングは重量を上げるために「楽をする」行為ですが、この「練り」は全身の仕事量が上がるため、逆にキツくなります。
また、寝射しは床で行うため、ベンチプレスと比較して可動域が狭くなるのでベンチよりも楽に見えますが、「練り」を使うのでベンチプレスよりもかなりキツいです。
寝射しは普段から行ってこともあり、基本的なフォームはできているとの評価をいただけましたが、キツくなってくると左脚の練りが弱くなる傾向があったので、ここは今後改善していきたいと思います。
- スタートポジションでは全身を弛緩させる
- プレスと同時にかかとで床を踏みぬくイメージでしっかりと「練る」
- しっかりと練ることで腹圧を高め、「押す」という動作に「練り」の力を伝えるイメージで行う
- (アップ)50kg 10回
- (アップ)80kg 10回
- (メイン)100kg 9回
- (メイン)105kg 5回
- (メイン)92.5kg 8回
インクラインダンベルフライ
次にインクラインダンベルフライです。
ベンチの角度は60°ほどと高めに設定し、ベンチの座る側の下にコルクブロックを置いて行います。
コルクブロックを置くことで座位が高くなり、下半身の「練り」を使いやすくなります。
渡辺さんは非常にこだわりが強く、その人の体型に合わせたり、より効きやすくするためにトレーニング器具をカスタムして行うことが多いです。
実際、何もカスタムしていないときと比べると、力が入りやすかったり、正しいフォームが作りやすくなりました。
アップセットに入る前に、練りを使いやすくするための練習をします。
片手だけに8kgのダンベルを持った状態で、両手でダンベルを持っているかのようにインクラインダンベルフライを行います。
ここで「練り」が使えてないと左右の重量差でフォームがブレまくります。(実際にやってみるとわかりますが、かなりブレます)
片手だけにダンベルを持った状態でもフォームが安定するように「練り」を意識し、しっかりコントロールします。
左右1セットずつ行った後、通常通り両手にダンベルを持ち、アップを含め4セットずつ行いました。
- 二頭筋で大胸筋を挟みこむイメージでダンベルを上げる
- ダンベルを下すときは胸骨と鎖骨を開いていくイメージ
- 「練り」をしっかり意識して行う
- (片練り)8kg 5回
- (アップ)16kg×2 15回
- (メイン)22kg×2 8回
- (メイン)18kg×2 10回
- (メイン)14kg×2 12回
スミスマシンインクラインプレス
次はスミスマシンでのインクラインプレスです。
ベンチの角度は60°ほどと高めに設定します。
バーにスクワットパッドを巻き、ボトムポジションではバーを胸でバウンドさせます。
一般的に、胸でバウンドさせるベンチプレスはボトムポジションの負荷が抜けることからNGとされていますが、ボトムポジションを深く取りすぎると肩を痛めたりするリスクがあり、かといって下手に自分で可動域を浅くすると、僧帽筋が上がってしまったり、筋肉が硬くなったりするので思い切ってバウンドさせた方が良いとのこと。
また、筆者は肘をロックさせないようにフィニッシュで肘を伸ばしきらないようにしていましたが、筆者の場合は伸ばしきった方が良いとアドバイスいただきました。
「ベンチプレスでは肘のロックはNG」というのはよく言われていますが、肘のロックを注意すべきなのは猿腕の人だけだそうです。
猿腕とは?
猿腕とは、腕を真っすぐに伸ばした際、肘が反対側に曲がり「くの字」になってしまう腕ののことを指します。
東洋人は猿腕ではない人がほとんどで、肘が過伸展しにくいので、ほとんどの人は肘をロックしてしまっても問題ないとのことでした。
こういった点に注意しながら4セット行いました。
- ボトムポジションではバーを胸でバウンドさせる
- 「練り」をしっかり意識して行う
- (アップ)40kg 15回
- (メイン)60kg 8回
- (メイン)65kg 6回
- (メイン)52.5kg 12回
デクラインペックフライ
次はデクラインペックフライを行いました。
マシン自体は通常のペックフライマシンですが、デクラインの体勢がとれるようマシンをカスタムした状態で行いました。
肩甲骨を下制させ、胸をしっかり張り、二頭筋ではさみ込むイメージで動作を行っていきます。
肘は曲げすぎず、腕を長く保ち大胸筋にしっかりモーメントがかかるように動作します。
こちらもアップを含め4セット行いました。
- 肩甲骨を下制させ、しっかりと胸を張る
- 二頭筋で大胸筋をはさみ込むイメージ
- 腕を長く保つイメージで動作する
- (アップ)100lb 15回
- (メイン)130lb 10回
- (メイン)145lb 5回
- (メイン)110lb 11回
※lb=ポンド 1lb=0.454kg
ケーブルプルオーバー
次はケーブルプルオーバーです。
大胸筋狙いのプルオーバーといえば、ダンベルで行うのが一般的かと思いますが、今回はケーブルマシンを使って行います。
ダンベルを使ってベンチで行うプルオーバーは、拮抗筋である背中の筋肉が圧迫された状態で行うことになるので、背中が圧迫されないケーブルプルオーバーの方が効果的とのこと。
トライパワーアタッチメントに2.5kgのプレートをつけることで、ダンベルプルオーバーのような感覚で行うことができます。
ケーブルでのプルオーバーは初めて行いましたが、背中や首まわりの制限がない分、非常に動作がしやすかったです。
以下のポイントに気をつけながら3セット行いました。
- フィニッシュでは肘をしっかり締める
- フィニッシュで頭を起こしすぎない
- (アップ)40kg 15回
- (メイン)60kg 8回
- (メイン)65kg 6回
- (メイン)52.5kg 12回
ケーブルクロスオーバー(ハンドルD)
最後の胸の種目としてハンドルDをつかったケーブルクロスオーバーを行いました。
ハンドルDとは、東南アジアなどで使われている旧式のハンドルを基に、渡辺さんがプロデュースしたハンドルになります。
ハンドルDについて詳しく知りたい方はこちら(「ITEM02」をタップしてください)
通常のハンドルはグリップ部分が回転しますが、このハンドルDはグリップ部分が回転しないようになっています。
グリップ部分が回転しないことで、力が分散しにくいので、大胸筋への「効き」が非常に良くなります。
ケーブルクロスオーバーについても、「練り」を意識するため、まずは片方ずつ行います。
「練り」の練習を行った後、以下のポイントに気を付けながら4セット行いました。
- 前傾しすぎない(前に寄りかからない)
- 腕を長く保つイメージで動作を行う
- (片練り)25lb 4回
- (アップ)35lb×2 15回
- (アップ)45lb×2 12回
- (メイン)50lb×2 8回
- (メイン)35lb×2 15回
ケーブルリバースカールとケーブルアームカールのコンパウンドセット
今回は胸のパーソナルだけの予定でしたが、渡辺さんのご厚意で引き続き二頭筋のトレーニングについてもご指導いただきました。
まずはケーブルでのリバースカールとアームカールのコンパウンドセットです。
アタッチメントは両端が切りっぱなしになっているストレートバーを使用します。
リバースカールはバーの端の方を握り、小指はバーから外した状態で構えます。(小指以外で握る)
そのままカールし、フィニッシュで手首を返します。
アームカールもバーの端の方を握り、親指と人差し指を外した状態で構え、肘を前に出しながらカールします。
これを続けざまに行います。
ハイレップのネチネチ系だったので、腕がかなり痛く二頭筋がパンパンになりました…
痛みと戦いつつ、合計4セット行いました。
リバースカール
- フィニッシュで手首を返す
- 小指をはずして行う
- 胸骨筋を縮めた状態で行う
アームカール
- カールするときに肘は前に出す
- 親指と人差し指をはずして行う
- 胸骨筋を縮めた状態で行う
- (アップ)
リバースカール 30lb 15回
アームカール 30lb 15回 - (アップ)
リバースカール 50lb 15回
アームカール 50lb 15回 - (メイン)
リバースカール 60lb 10回
アームカール 60lb 8回 - (メイン)
リバースカール 40lb 15回
アームカール 40lb 12回
ファンクショナルインクラインカール
次はファンクショナルインクラインカールです。
ベースはインクラインカールになりますが、ダンベルを下ろすときに後方に勢いよく腕を振るというのが通常のインクラインカールと異なる点です。
扱う重量が重くなってくると、カールする際に肩が上がってしまい、そのままダンベルを下すと肩を痛める可能性があることから思い切って後方に腕を振ることで肩の怪我を防止するという目的があります。
ダンベルを下していくときに、三頭筋が収縮するぐらい腕を後方に振り、そこから手首をスピネイト(回外)させながらカールしていきます。
チーティング気味のフォームになりますが、正しく行えば二頭筋にしっかり負荷をかけることができます。
以上の点に注意しながらこの種目も4セット行いました。
- フィニッシュでは胸を開く
- 腕を下すときは勢いよく後方に腕を振る
- フィニッシュでは手首をしっかりと回外させる
- (アップ)10kg×2 15回
- (メイン)14kg×2 7回
- (メイン)12kg×2 10回
- (メイン)9kg×2 12回
ICARIANマシンカール
最後はICARIANのマシンカールになります。
このマシンは二頭筋のコントラクト(収縮)種目になります。
カールする際に頭を前方に突っ込むイメージで動作し、最大収縮することを意識します。
先ほどのファンクショナルインクラインカールの時点で二頭筋がかなり追い込まれていたので、この種目はなんとか動作をこなすことで精一杯でした(笑)
バテバテになりながらなんとか3セット行いました。
- 収縮時に頭を前方に突っ込むイメージで行う
- (アップ)40lb 15回
- (メイン)60lb 5回
- (メイン)40lb 10回
まとめ
胸のトレーニング6種目、二頭筋のトレーニング3種目と計9種目のトレーニングをご指導いただきました。
前回の背中のパーソナルほどではないですが、今回の胸・二頭のトレーニングもかなりキツかったです。
ですが、その分得るものも多く、充実したレッスンとなりました。
この記事を読んで、『ぜひそのパーソナルを受けたい!』という方もいらっしゃると思いますが、下記記事に書いた通り、新規の方で渡辺実さんのパーソナルを受けるのは難しいです。
しかし、直接の指導は受けられなくても、渡辺さんのトレーニングのノウハウは月刊ボディビルディングの連載を読めば学ぶことができます。
しっかり読み、実践することで渡辺さんの指導しているトレーニングをある程度はものにできると思います。
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他にもアイアンマンなどのボディビル誌が読み放題なので、トレーニーの方には非常におすすめです。
この日以外にも脚、胸のパーソナルを受けているので、その内容についても近日中にアップしていきますのでご期待ください。
渡辺さん自身もブログを運営されているのでこちらも要チェックです。